業務用エアコンの処分|取り外し・フロン回収・引取証明書の手順と費用
公開日:2026年9月13日
閉店や移転で業務用エアコンを処分するとき、厨房機器と同じ感覚で「まとめて持っていってもらおう」と考えると行き詰まります。業務用エアコンは取り外し工事が先に必要で、しかもその前にフロン類の回収を済ませなければならないためです。
運び出すだけの機器と違い、業者を選ぶ条件が最も厳しいのが業務用エアコンです。この記事では、どこまでが自分でできないのか、依頼先に何を確認すべきか、処分までにどんな手順を踏むのかを整理します。
業務用エアコンは自分で取り外せません
冷媒にフロン類を使う業務用エアコンは「第一種特定製品」にあたります。配管を外す前にフロン類を回収する必要があり、この回収を業として行えるのは第一種フロン類充塡回収業者の登録を受けた者だけです。
冷媒を抜かずに配管を切れば、フロン類がそのまま大気に放出されます。法律以前に、高圧のガスが噴き出す危険な作業でもあります。取り外しを解体業者や内装業者に任せる場合も、フロン回収だけは登録を受けた業者が行う必要があります。
■無登録の業者に引き渡した場合の、廃棄等実施者側の責任と罰則について記載
当社は東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県の4都県で第一種フロン類充塡回収業者の登録を受けています。登録番号や制度の詳細は業務用冷蔵庫のフロン回収|引取証明書と業者選びの注意点をご覧ください。
家庭用エアコンとの違い
同じエアコンでも、家庭用と業務用では適用される法律が違います。
| 家庭用エアコン | 業務用エアコン | |
|---|---|---|
| 適用される法律 | 家電リサイクル法 | フロン排出抑制法 |
| 処分の窓口 | 小売業者・指定引取場所 | 産業廃棄物として許可業者へ |
| 必要な手続き | 家電リサイクル券 | フロン類の回収・引取証明書 |
判断の基準は機器そのものが家庭用か業務用かであり、どこで使っていたかではありません。事務所や店舗に取り付けた壁掛けエアコンでも、製品が家庭用なら家電リサイクル法の対象になります。家庭用エアコンの処分方法はエアコンの回収・処分をご覧ください。
見分けがつかないときは、本体の銘板(型番シール)を確認してください。業務用の機器には冷媒の種類と充塡量が表示されています。電源が三相200Vのもの、天井に埋め込まれているものは業務用であることがほとんどです。
業務用エアコンの種類と取り外しの難易度
ひとくちに業務用エアコンといっても、設置形状によって取り外しの手間が大きく変わります。見積もりの際は形状と台数をお伝えください。

- 天井カセット形(4方向・2方向):天井に埋め込まれており、取り外し後に天井面の開口が残ります
- 天吊り形:天井から吊り下げる形式。カセット形より作業しやすい形状です
- 床置き形:搬出経路さえ確保できれば比較的容易です
- 壁掛け形(業務用):家庭用と形状は似ていますが、製品が業務用であれば扱いは業務用です
- スポットクーラー:移動式ですが、フロンを使用していれば回収の対象です
天井カセット形は、取り外した後の天井の仕上げをどうするかという問題が出てきます。原状回復やスケルトン返しを控えている場合は、内装工事との順序を先に決めておくと二度手間になりません。
処分までの4ステップ

1. フロン類の回収
回収機を接続し、機器内のフロン類を回収します。ここを飛ばして取り外すことはできません。
2. 取り外し
室内機・室外機・配管を外します。天井カセット形は天井面、床置き形は固定部の処理が伴います。
3. 搬出・運搬
業務用エアコンは産業廃棄物です。産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者でなければ運べません。

4. 引取証明書の受け取り
フロン類を回収した業者から引取証明書が発行されます。廃棄した側が受け取り、保管する書類です。
当社の場合、1から4までを外注せず自社で行います。フロン回収業者と解体業者と回収業者をそれぞれ手配する必要はありません。
費用の考え方
業務用エアコンの処分費用は、次の要素で決まります。見積もりを比較するときは、どこまでが含まれた金額かを確認してください。
- 取り外し工事費(形状・設置階数・台数による)
- フロン類の回収費
- 機器の処分費(産業廃棄物)
- 引取証明書の発行手数料
当社では、取り外しから搬出・処分まで含めて1台あたり40,000円〜60,000円前後が目安です。ただしこの幅は、機種や台数よりも配管の長さで動きます。
業務用エアコンは、室内機と室外機をつなぐ配管が天井裏や壁の内部を通っています。この配管が何メートルあるか、どこを通っているかによって、作業量がまったく変わります。室外機が同じフロアのすぐ外にあるのか、屋上まで配管が伸びているのかで、同じ機種でも工事の規模が変わってしまいます。
配管が天井裏を長く通っているケースや、室外機が離れた場所にあるケースでは、正確な金額は現地を見なければ出せません。「機種を伝えれば即答できます」という業者には、現地で追加請求が発生しないかを確認しておいたほうが安全です。
また「取り外し込み」と書かれていても、フロン回収や証明書発行が別料金になっていることがあります。総額でいくらになるかを、依頼前に確認しておくのが確実です。厨房機器や什器とあわせて出す場合の費用は不用品回収の料金表もあわせてご確認ください。
よくあるご質問
- Q電話で概算を教えてもらえますか
- A正直に申し上げると、業務用エアコンは概算を出しにくい機器です。天井裏の配管を外す作業量で費用が大きく変わるため、そこが分からないまま金額をお伝えすると現地でずれてしまいます。
お問い合わせの際は室内機と室外機の位置関係がわかるお写真と、おおよその距離をお知らせください。これだけでもお伝えできる精度が変わります。 - Q台数が多いと安くなりますか
- A出張費が台数分かからないため、実際にはお安くできます。ただし、それを事前の金額に反映するには現地確認が必要です。
天井裏の作業環境が悪かった、エアコンの周辺に厨房機器や荷物が置かれていて移動に手間がかかった、といった条件は現地を見なければ分かりません。見ないまま見積もると、こうした悪条件をすべて想定することになり、かえって高い金額を出さざるを得なくなります。安くお出しするために現地を見る、とお考えください。 - Q移転するので取り外しだけをお願いできますか
- A承ります。処分せず移設される場合の取り外しのみでも対応可能です。
- Q買取の対象になるのはどんなエアコンですか
- A年式が新しく、室内機・室外機ともに状態のきれいなものが対象です。目安は製造から5年以内。7年程度でも状態がよければ、買取による減額ができる場合があります。
実際の感覚をお伝えすると、取り外しの費用が5万円前後、買取額も5万円前後になることが多く、差し引きで無料に近い金額に収まるケースが最も多いというのが現場の実感です。相当に新しく機種の良いものであれば買取額が10万円程度になることもありますが、閉店の現場でそこまで新しい機器が出てくることは多くありません。買取額が費用を上回ってお支払いになるケースは、あまり多くないとお考えください。 - Q前のテナントが置いていったエアコンは誰が処分するのですか
- A法律上の決まりはなく、賃貸借契約の内容次第です。現在の借主が負担することもあれば、貸主側が対応することもあります。
ご自身で判断せず、不動産会社を通してオーナー様と交渉されることをおすすめします。誰の負担かが決まらないまま工事を進めると、後から費用の話がこじれます。 - Q家電リサイクル券は必要ですか
- A不要です。家電リサイクル法の対象は家庭用エアコンで、業務用エアコンは対象外です。産業廃棄物として、収集運搬の許可を持つ業者に引き渡す形になります。
- Qガスが抜けている・故障していても回収は必要ですか
- A必要です。効きが悪い、動かないという状態でも冷媒が残っていることが多く、残量の確認は回収作業のなかで行います。抜けているように見えるからという理由で、そのまま配管を切らないでください。
- Q引取証明書は何年保存すればよいですか
- A■要確認(フロン排出抑制法で定められた保存年限を環境省の一次資料で確認して記入)。保管義務があるため、工事の請求書とあわせて保管しておくと後から探さずに済みます。
- Q室外機だけ、室内機だけの撤去はできますか
- A片方だけの撤去も可能ですが、冷媒は配管でつながっているため、先にフロン回収を済ませる点は変わりません。室外機が屋上や壁面にある場合は、搬出経路の確認が先になります。
- Q電源の切り離しや電気工事も必要ですか
- A取り外しには電源の切り離しが必要です。分電盤からの専用回路をどこまで撤去するかは、原状回復の範囲として貸主と決めておく部分になります。■要確認(自社で対応する範囲と、有資格者による作業の切り分けを記入)
- Qスケルトン返しで解体する場合、注意することはありますか
- A解体工事の前に、第一種特定製品が残っていないかを確認する手続きが定められています。解体業者と回収業者のどちらが対応するのかを、着工前に決めておいてください。■要確認(解体時の事前確認・説明に関する規定を条文で確認して記入)
- Q閉店が決まっています。いつ依頼すればよいですか
- A■要確認(自社の標準リードタイムと繁忙期を記入)。フロン回収と産業廃棄物の処理は当日その場で完結する作業ではないため、明け渡し日から逆算してご相談ください。お電話は0120-85-2060です。
閉店・移転でまとめて依頼する場合
閉店に伴う片づけでは、業務用エアコンだけでなく厨房機器・什器・食器なども同時に出ます。業務用冷蔵庫やコールドテーブル、製氷機もフロン対象機器なので、エアコンとまとめて依頼すれば回収作業も証明書の発行も一度で済みます。
厨房機器の料金と実例は厨房機器・業務用冷蔵庫の回収、店舗まるごとの閉店片付けは店舗・飲食店の閉店片付けをご覧ください。飲食店から出る不用品の全体像は飲食店から出るゴミや不用品の処分方法にまとめています。

著者:臺 真樹(うてな しんじ)
株式会社パワーセラー代表。創業21年(2005年創業)の不用品回収・買取業界で「捨てずに活かす」を実践。テレビ朝日「スーパーJチャンネル」など多数のメディア出演実績あり。あいおいニッセイ同和損保(上限1億円)加入、古物商許可431090015198・産業廃棄物収集運搬業許可(東京都 第1300150656号/埼玉県 01102150656/千葉県 第01200150656号/神奈川県 01400150656)・第一種フロン類充塡回収業者登録(東京都 13106584/埼玉県 第12270040号/千葉県 12A114125号/神奈川県 神(気水) 第1-3724号)保有。代表はNPO法人ロータスチルドレンの理事として、マニラのスラム街で教育支援「TERAKOYA」を運営。詳細はこちら|当サイトの調査・選定ポリシー
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